「終活」って言葉は聞いたことあるけど、実際にはどんなことを何歳からすべきなんだろう?
この記事は、こんな疑問を解決します。
- 終活とは?どんな意味?どんなことをするの?
- 終活はいつから、何歳から始めるべき?
- 終活のやることリストと、その手順を紹介
- 【年代別】行うべきこと・ポイント
- これから終活を行う際に注意すること
「終活という言葉は知ってるけど、何歳から始めればいいんだろう?」、「終活を始めたいけれど、何から始めたら良いかわからない!」、「私の年齢では何から手をつければいいんだ?」
終活に対してこんな疑問を抱いたことはありませんか?過去の筆者もその1人でした。
これから終活について考える・終活を始めるにあたって、大まかなイメージをつかむことで「自分が何から始めれば良いか」を理解することができます。
そこで、本記事では「何歳から始めて何から始めるのか」などの、終活を理解するための基本的な知識をお伝えします。
終活をしたことがない方に向けてわかりやすく説明しているので、リラックスして読んでいってね!
終活とは?どんな意味?どんなことをするの?
それでは、具体的に「終活の意味」や「終活の内容」を見ていきましょう。
終活=「より良く生きる」ための前向きな整理
「終活」とは、「人生の終わりのための活動」の略称です。これからの人生計画・人生の総括を行い、自身の老後や人生の最期を迎えるにあたって様々な準備を行うことを意味します。
終活は「自分の死後のための準備」、「自分の死後、周りの人に迷惑をかけないように」と考えがちですが、「人生のエンディングについて考えることを通じて”自分”を見つめ、今をより良く生きるために自分の人生を整理する」という考え方が重要です。
死後のための準備と聞くと、なんだか少し恐ろしいような気持ちになってしまう方もいらっしゃるでしょう。
しかし、終活は決して後ろ向きなものではなく、むしろポジティブなものなのです。
終活ではどんなことをする?
具体的には、身の回りの整理、財産の相続を円滑に進めるための計画、葬儀やお墓の準備などが主に行われています。
誰にでもある心配事、例えば「お金」「介護」「相続」「保険」「お墓」「お葬式」のことなどを事前に考え準備して老後生活の不安を解消し、いきいきとしたセカンドステージを送ることこそが「終活」の真の目的です。
さらに具体的な「終活でのやることリスト」や「終活の手順」は後ほどしっかり説明していきます。
断捨離との違い
断捨離は、「断行・捨行・離行」というヨガの思想を表したもので、「日常生活で不要なものを思い切って捨てたり手放したりすること」です。
終活においても、不要な物を整理して手放すことが多いので「終活=断捨離」と思う人もいますが、終活は「これからの人生計画・人生の総括を行い、自身の老後や人生の最期を迎えるにあたって様々な準備を行うこと」を指すので根本的に意味が異なります。
終活では、断捨離よりも多くの物事について考え、自分の今後の人生をより良く過ごすために整理していかなければなりません。
終活はいつから、何歳から始めるべき?
この章では、「何歳から終活を始めればいい?」という疑問を解決していきます。
終活は65歳から始める人が多い
多くの人が65歳あたりから終活を始めるようです。65歳あたりは、ちょうど会社を退職し、子供が結婚や独立で手を離れ、自分の時間に余裕ができる頃です。生活の状況が大きく変わったことで、それまで仕事や子育てに費やしてきた時間をどう使うか、自分の人生を振り返る機会が増えるのがその理由の1つです。
また、年齢を重ねて自身の老後について具体的な不安が増す頃で、不安を解消するために終活を考える人が増えることも理由の1つに挙げられます。
「人生100年時代」と言われる今、65歳から100歳までは35年の月日があります。「65歳をもうすぐ迎える方」、「すでに迎えている方」は、気力・体力ともに十分で自分で自由に行動できる「65歳」という節目を、自分の人生を振り返り整理してみる良いタイミングと捉えて、終活を始めましょう。
終活はいつ始めても良い
老後や死後の取り決めなどを考える終活は、どうしても「年齢を重ねてから始めるもの」という先入観を持っている人もいるでしょう。確かに、年齢を重ねて将来に不安を感じたことをきっかけに終活を始める人も多いようですが、終活は早くから始めて大丈夫です。
最近では、40代~50代の若いうちから終活を始める方も増えてきており、自分に万が一のことが起こったときに備えて、元気なうちから準備しておくと安心です。
「65歳で始める方が多い」という話をしましたが、実際に終活を始めてみると、やらなければいけないことや、用意しなければならない書類・手続きも多く、できるだけ早めの行動を心がけることが “成功のカギ” となります。
したがって、より若い時に終活を行う方ほど、充実した人生を送ることが出来るのです。
【年代別】50代以下で終活を始めることのメリット
20代
20代は、まさにこれからの人生を創っていく世代なので、死を身近に感じられない人も多いことでしょう。
しかし数年先の未来を見据えた時、生命保険・年金・貯蓄の必要性や、いつ怪我や病気をするかわからないという心配もあります。このような少し先の未来に対する備えをリストアップし、それに対してどう動くべきかを考えてみましょう。
終活は「未来を生きるための活動」でもあり、20代のうちから「これからの人生」と向き合うことで、これからの人生をより良く生きるための道しるべとなります。
また、「やりたいこと」「行きたいところ」「会いたい人」などに思いをよせることで、これからの人生の目標も決めやすくなるのです。
30代
収入が安定してくる一方で、結婚・出産・住宅や車の購入などで出費が増えたり、様々なライフイベントが待ち構えているのが30代の特徴です。
これから築く家族の歴史を夫婦で作り上げる、とても大切なタイミングになるでしょう。
30代から終活を始めることで、教育・住宅・老後という人生の3大資金を計画的に準備することができます。
40代
40代は「人生の折り返しを迎える年代」でもあり、「仕事としても家庭としても大きな責任を背負う年代」です。この時期をどう過ごすかによって、人生の後半が決まるといっても過言ではありません。
また、両親が老いてきて介護が必要になったり亡くなったりする場面と遭遇する機会が増えてきます。その現場を見ていく中で自分自身に置き換え、終活について考えるタイミングも多くなるでしょう。
これまでの人生を振り返るとともに、必要なもの・不必要なものなどの整理など、今できる身の回りの整理を少しずつ始めましょう。そうすることによって、老後に向けたプランを立てやすくなり、準備を進めやすくなります。
50代
50代は、子どもが独立したり、親の介護が始まったり、上司が定年退職したりと、徐々に周りの環境が変化していく年代です。
セカンドステージまでにまだ時間的な余裕があるため、体力や気力・判断力を十分に備えた状態で、より具体的に、ゆとりを持ってセカンドライフのプランが立てられます。
また、50代で両親が亡くなるケースも多いのが現状です。両親の終活や継承などの問題と向き合った際に、自身の場合と置き換えて考えてみるのも有効です。
終活を始めるタイミングの一例を紹介
ここまでで、「終活の意味」「終活は何歳からでも始められる」「年代別の終活を始めるメリット」を学んできました。
では、実際はどのタイミングで終活を始めれば良いのでしょうか。ここでは、一般的に「終活について考え始める」「終活を始める人が多いタイミング」の一例を紹介します。
終活を始めるきっかけの参考にしてみてね!
自分や家族の将来が心配になった時
自身や家族が大きな怪我を負ったり病気になると、健康面や今後の生活など、将来に不安を覚えるのが普通です。老後生活に対する不安を解消したいという気持ちも、終活を始めるきっかけになります。終活を始めることで、自身や家族が健康であることが当たり前という考えが抜け、健康に対する意識が高くなるでしょう。
医療や介護についても現実的な問題、自分ごととして捉えるようになります。今後、自分に介護が必要になった時にどうして欲しいのか、家族に迷惑をかけない方法はないかなど、具体的に考えられるようになります。
結婚・出産などで新しい家族が増えた時
特に年齢が若い時は、独身であったり夫婦だけであったりすると、終活について考えるきっかけはあまり無いかもしれません。しかし、結婚や出産などで家族が増えたりすると、もし自分に何かあったときのことを考えるタイミングが出来ます。
自身が亡くなるまでの期間、誰に何をお願いしていくのか、負担をかけない方法があるかなど、終活によって考えることが可能です。さらに、家族が増えると遺産分割について決めていく必要も出てくるので、このタイミングで終活全体について考え始める人が多いようです。
親が終活を始めた、介護を受け始めた時
自分の親が終活を開始すると、自分自身に置き換えて現実的なものとして考えやすくなります。親が終活で考えているテーマを、自身ならどうするか一緒に答えを考えられるため、終活を始める良いきっかけとなります。
また、親が介護を受け始めると、「親が希望通りに満足のいく介護を受けられているのか」などを考えることが多くなります。そこで、自身が同じ立場になった時に周囲に伝えておくべきことや、周囲が知っていると役立つことがわかり、有効的に終活を進められます。
定年退職を迎えた時
定年退職を迎えた時は、まだ気力も体力も十分にある状態です。定年退職後は自由時間が増え、自身の人生や老後について必然的に考えていくことでしょう。そこで、セカンドキャリア形成のためにこれから先のことを考え、生前整理や自身の老後や介護・財産の把握や整理・遺産分割などを具体的に決めておくいいきっかけになります。
また、自分が希望する最期の迎え方などを考えておけば、その時までの人生設計もポジティブに描いていけるでしょう。
身近な人が亡くなった時
家族や友人などの身近な人が亡くなると、自身に置き換えて最期のことを考えるきっかけになります。自身のことだけでなく、遺された家族のことも思い、「死後にどうしてもらいたいか」を具体的に考える必要性を感じてくるでしょう。
いつかは訪れる自身の死や死後に備えて、「それまでをどう生きていきたいのか」「遺された家族に出来るだけ負担をかけない方法はないか」、そして「葬儀やお墓についての希望」などを終活で明らかにし、整理しておくことを考えましょう。
具体的な終活でやることチェックリスト
この章では、終活で具体的にやることを紹介します。終活のメリット、必要性などはある程度理解できたと思いますので、ここでは「実際にどんなことをしていけば良いのか」を学んでいきましょう。
終活は5つのパートに分かれる
「終活」と一言に言っても、やることは意外とたくさんあります。ここでは、5つのパートに分けて終活を整理し、頭の中も整理していきましょう。5つのパートは以下の通りです。
- 自分史
- 介護・看病
- 葬儀・お墓
- 財産
- ペット
それでは、一つずつのイメージをつかみ、実際に行なっていくことを見ていきましょう。
各パートごとの特徴・やることチェックリスト
自分史
「自分が今までどんな生き方をしてきたのか」、そして「これからどんな生き方をしたいのか」等ををまとめていきます。履歴書のようにまとめていく、思い出やエピソードを綴る、好きな食べ物や趣味をまとめる、年表スタイルで書き起こしていく、などいろいろなまとめ方があります。
自分を語るのは恥ずかしいかもしれませんが、文字などの「もの」として残しておくことで後世にも自分が生きた証を残すことが出来ますし、目標を掲げながら生きていくこの先の人生もきっと素晴らしいものになるでしょう。お年を召した方ほど、生まれた時から今までの人生を文章にしようとすると途中で息切れしてしまうので、一番心に残っている時代から書き始めましょう。
まとめ方のおすすめは「エンディングノート」。自分史だけではなく、これから説明する内容についてもエンディングノートにまとめられるので、この機会にぜひ1冊持っておきましょう。
- 「自分が今までどんな生き方をしたいのか」、「これからどんな生き方をしたいのか」をエンディングノートなどにまとめ、家族や大事な人に共有する
介護・看病
認知症や重度の脳の障害により、意思の疎通が図れなくなるかもしれません。その時、「介護・看病」の意思決定は家族に委ねられます。これは非常に重いテーマですが、「どなたにも起こりうること」と認識し、準備をしておきましょう。
「誰に介護してほしいか」「どんな施設が希望か」といったことから、「胃ろう」「延命治療」「臓器提供」「献体」などの終末期医療に関わることも考えて、しっかりとまとめておきましょう。
エンディングノートなどに記入したことと、実際そうなった場合とでは状況は変わるかもしれません。また、ご自身の気持ちも今後変わるかもしれません。ですから、「これはあくまで私の希望」と割り切って、今の自分の気持ちを素直にまとめましょう。気持ちがまとまったら、介護や看病をお願いするご家族の思いも聞いて、お互いが納得のいく介護や看病ができるようにすることが大切です。
- 「誰に」「どこで」介護してもらいたいか(寝たきりや認知症になった場合も考える)を決めておく
- 介護と医療に必要な「費用」や「制度」(費用が不足した場合「誰に」「どれくらい」負担してもらえるか)を把握する
- 「医療保険」や「生命保険」に過不足なく加入しているかチェックする
- あなたが突然倒れた場合、スムーズに医療機関へ搬送される準備が整っているか(孤独死を回避するための方策を講じているか)確認する。
- 信頼できる「かかりつけの医師や病院」を見つけ、その連絡先を家族に伝える
- 「余命宣告」や「臓器提供」、「延命治療」を希望するかどうか決める
- 臨終を「誰に」「どこで」看取ってほしいかを決める
葬儀・お墓
人生最期のセレモニーである「お葬式」。「お葬式」は「結婚式」と違って、短い時間で多くのことを決めなければなりません。ましてや、闘病中の家族を抱えながら葬儀のことを考えるのは、精神的にも体力的にもとても辛いことです。葬儀を取りしきる喪主の経験者が二度目の葬儀に臨む場合はごくわずかで、ほとんどの方は『初めて訪れた街を地図もなく歩くような』気持ちで葬儀に臨みます。「病院で亡くなってから葬儀の打ち合わせに至るまで」を確認しておくだけでも、不安は随分と解消され落ち着いて対処できます。
「今はまだ若く、葬儀のことなんて…」と思っていても、自分の最期のセレモニーをどういう形で見送ってほしいのか、要望を残しておくのはとても大切なことです。「いずれそのうちに」と後回しにせず、元気な時に葬儀についての自分の希望を整理しておきましょう。エンディングノートには、どんな人にお葬式にきてもらいたいか、をまとめる「連絡先リスト」のページがあります。このページを書き込むうちに、旧友のことを思い出し、親交が再開したという方もいらっしゃいます。まさに、「前向きな終活」です。お世話になった方々にどんなふうにお別れをしたいか、を軸に考えるといろいろな想いやイメージが湧いてくることでしょう。
最近は家族だけで静かに見送る「家族葬」というスタイルが主流になっていますが、家族葬は「参列者が親族のみで御香典が少なくなる分、自らの持ち出しが増えて結果として支払った費用は普通のお葬式と変わらなかった」というケースも少なくありませんので、注意が必要です。この辺りも、家族や専門家などに相談することで、自分に合った葬儀のスタイルをしっかりと決めることが出来るでしょう。
葬儀の次は「お墓」です。人は亡くなったらお墓に入り、いずれ土に還ります。中国に、「生前にお墓を用意するのは縁起が良い」という意味の「寿陵(じゅりょう)」という言葉があります。その言葉の通り、「終の棲家」をどんな風にしたいか、家族で話しながらお墓を作り上げる作業は、亡くなった後も家族の心の支えとなるはずです。ご逝去後は、お葬式や遺品整理、相続の手続きなど様々なことを行わねばならず、時間的にも体力的にも金銭的にもきつくなります。お墓は、こころの財産なので、「前向きな終活」として元気なうちに家族みんなが納得のいく場所に、想いのこもったお墓を建てておくことをお薦めします。
【葬儀】
- どのような葬儀を希望するか(一般葬・家族葬・直葬・生前葬など)を決める
- 「葬儀に誰を呼びたいか」を決め、その連絡先を(メモするなどして)家族に伝える
- 「葬儀の規模、予算はどの程度か」を確認し、必要なお金をどのように用意するかを決める
- 宗派やお寺(僧侶)、葬儀社、戒名の希望などを家族に伝える
- 「喪主は誰に依頼するか」を決め、当人にその旨を伝える
- 遺影を用意する(一緒に火葬、埋葬してほしいもの[副葬品]も決める)
【お墓】
- どのように供養されたいか(先祖代々の墓・散骨・手元供養・納骨堂など)を決める
- お墓は誰に承継してほしいか(誰に維持・管理を任せるか)を決める
- お墓参りや法要はどのくらい希望するかを決める
- 維持費や購入費などの費用負担について(予算をあらかじめ用意できているかも合わせて)、家族と話し合う
- 誰(先祖・家族・配偶者・一人)と一緒のお墓に入りたいかを決める
- 「どの業者からお墓を購入するか」または「どの業者に管理を任せるか」を決める
財産
エンディングノートには、不動産、預貯金、有価証券、生命保険、宝飾品など財産について記入するページが設けられています。その内容に従って整理していけば、ご自分が今持っているものが目に見える形でクリアにすることができ、生命保険の再検討や形見分けの希望など次のステップも見えてきます。
インターネットの普及と共に新たに問題点として浮かび上がっているのが、携帯電話や会員サービスのID、パスワードです。個人情報の観点から難しい部分もありますが、「残された家族が困るかもしれない」と思われるものに関しては、ID・パスワードがわかるようどこかに記録を残しておき、保管場所を家族にも伝えておきましょう。近年では、これらのデジタルデータを整理することを「デジタル終活」と呼べれています。デジタル終活について、今後記事で特集するので、詳細を知りたい方はそちらをご覧ください。
自分の財産についてある程度の整理がついたら、形見分けや相続についても考えやすくなります。故人の愛用品は、残された遺族にとっても大切な形見ですし、亡くなった人を偲ぶ思い出の品となります。自分の思い出の品を譲りたい相手の希望があれば、誰に持っていてほしいのか、誰に思い出として大切に扱ってほしいのか、ということをきちんと考え、エンディングノートに希望を書いておきましょう。
ここで気をつけなければならない点は、「エンディングノートには法的拘束力がない」ということです。エンディングノートに希望が書かれていても、遺族の誰かがそれを認めなければ無意味となってしまいます。もし、確実に法的に認められた文書を残したい場合は、遺言書の作成をお勧めします。遺言書があれば、その内容が最優先で、その後に法定相続が続きます。ただし、遺言書には書き方に細かなルールがあり、少しでもルールから外れると無効となってしまいます。法的に有効な遺言証書を残すためには、「公証役場」「司法書士」「弁護士」などの専門家に相談されることをお勧めします。遺言は大切な財産に関わることですし、重要な法律行為です。自分だけの知識で判断して、不適切な処理になってしまったら大変です。相続が「争続」とならないためにも、慎重に考える必要があるのです。
- 不用品の処分は進める(不要なものはできるだけ捨てたり、買取してもらう)
- 写真やコレクションなど、死後は誰に譲りたいか(またはどのように処分してほしいか。家族に代々受け継いでもらいたいものはないか)をを決める
- 遺品は「誰に」「何を」譲りたいか具体的に決め、当人にそのことを伝える
- パソコンの中身や日記など「誰にも見られたくないもの」はないかを把握する(デジタル終活)
- 「老後の生活に必要な資金はどの程度か」を把握し、「そのお金を用意できているか(または用意できる見込みはあるか。どうやって確保するのか)」を確認・検討する
- 「終の棲家」に自宅を選ぶか、施設を選ぶか(それぞれのメリット、デメリット、費用などを書き出し)を検討する
- 自分の死後、不動産を「誰に」残すのかを検討する
- 税制上の優遇措置や補助金の制度などを把握する
- 「誰に」「いくら」残すのかを決める
- 必要な書類(遺言書など)を準備し、その保管場所を家族に伝える(各種カードや銀行口座、有価証券の有無も含めて伝える)
- 家族に負の遺産(ローンや借金)が残る恐れはないか(相続の放棄など、残った場合の方策を講じているか)を確認する
ペット
ペットは大切な家族の一員。もし飼い主が入院することになったら、誰に面倒をみてもらいますか?ペットの生活習慣や癖、好きな食べ物などの簡単な項目をまとめておくだけでも、ペットを預かる側にはとても助かりますし、何よりペット自身が慣れない環境のなかでも穏やかに暮らせることでしょう。
病気やケガはいつ起こるか予想できません。ペットを飼っている方は、自分のことだけでなく、愛するペットのためのページをエンディングノートに追加しておきましょう。
- 飼っているペットの「生活習慣や癖、好きな食べ物」などの特徴をまとめ、家族や信頼のおける人と共有する
- 自分の死後、ペットを誰に託したいかを決める
エンディングノートについて
「各パートごとの特徴・やることチェックリスト」で出てきた「エンディングノート」とは、一体どんなものなんでしょうか。別の記事にて、エンディングノートについて詳細に記しますので、ここでは簡単に説明します。
エンディングノートとは、「自分が亡くなったとき、あるいは病気やケガ、認知症で判断能力が衰えてしまったときに備えて、必要な情報や希望を書いておくノート」です。遺言書のような法的効力はありませんが、終活の様々な場面で役に立ちますし、自分らしく生きるための指針になるのです。
先ほど学んできた「自分史、介護・看病、葬儀・お墓、財産、ペット」のチェック項目について、まとめられる部分からエンディングノートにまとめていきましょう。
【年代別】終活の進め方・ポイント
ここまでで、具体的に終活で行うべきことを学びました。この章では、「実際、自分の年齢だったらどこから手をつければ良いんだろう?」という疑問を解決していきます。
各年代での詳しい終活の考え方・手順は別の記事にて解説するから、ここでは簡単にイメージを掴んでいこう!
20代
学生から社会人への転換期である20代は「人生のスタートライン」。これから先の長い人生や、人生の終わりと向き合う意識を持てない人も多いでしょう。しかし、将来を左右する大事な時期であり、経済的にも自立する世代です。人生設計を考えていくうえで、「どんな人生を送りたいか」を考えるだけでなく、貯蓄や生命保険・年金などの必要性を感じていかなければなりません。
まずは少し先の未来に目標を定め、そこに向かって進むべき方法を考えていくと取り組みやすいでしょう。ここで登場するのが「エンディングノート」。20代で「エンディングノート」を書くことで、やるべきことが具体化できますし、これからの人生を見つめるきっかけになるでしょう。
「人生の目標」や「どんな生き方をしたいか」、また「資産をどのように増やしていく、管理していきたいか」等をエンディングノートに書き記し、自己投資ノートとして活用しましょう。
とは言え、出来ること全てをいきなりしようとすると、めんどくさくなって途中で投げ出したくなります。まだまだ若い世代なので、急いで終活全部を行う必要は全くありません。
エンディングノートに関しては「書きたい部分だけを書く」を徹底し、今は「やらないといけないこと・やらなくていいこと」や「必要なもの・不必要なもの」をはっきりと分ける「断捨離」を行うことをおすすめします。必要な作業を最小限に抑えることで終活で疲れる可能性はグッと減りますし、「やらなくていいこと」を考えることで、今後自分に「本当に必要な終活」を効率良く把握できるでしょう。
20代の終活の手順(例)を簡単にまとめておきます。
完璧にまとめようと思うと疲れてしまうので、自分が書ける範囲だけを書きましょう。
断捨離の対象として
- 必要性の薄い「モノ」や「サービス」
- ストレスの原因となるような「人間関係」
- 「みんな持っているから」「みんな買っているから」自分も欲しいという「執着心」
など、様々なものがあります。不必要と判断したものは、思い切って手放しましょう。
30代
30代といえば、結婚をして家庭をもったり子供ができたりと、ライフイベントが発生するケースが多くなります。転職する人も増え、人生における転換期を迎える人も多いことでしょう。
したがって、20代の時よりもライフプランをより具体的に考える必要がありますし、人生の3大資金「教育・住宅・老後」のための準備も必要になってきます。人生を振り返り、5年後や10年後の貯蓄額の目標を定めると、プランが立てやすくなります。これからの家族の歴史を築くために、キャリア計画をしっかり立てましょう。
これらの内容を、20代の時と同様にエンディングノートにまとめ、キャリア計画ノートを作っていくイメージで進めていきましょう。30代の終活の内容は20代に近いですが、やるべき内容を20代の時よりも更に深く行っていくイメージで終活を進めていきましょう。
30代の終活の手順(例)を簡単にまとめておきます。
20代の時よりも、具体的に考えていきましょう。結婚をしていれば、そのライフプランは配偶者や子供にも関係があるものです。必要に応じて配偶者と一緒に話し合うことも欠かさず行っていきましょう。
20代の時よりも書ける内容が増えているはずです。20代の時よりも様々なサービスなどに契約しているはずですので、各種サービスのパスワードをまとめたりも欠かさず行いましょう。
結婚・出産などをしていくと、気付かないうちに「もの」が増えていることが自然です。これからもどんどん増えていくことを想定し、今のうちに不必要なものを処分して少しでも身軽になっておきましょう。
30代になると、親が定年を迎え終活を本格的に行っていることでしょう。このタイミングであなたも一緒に終活を考えることで自身の終活の参考になりますし、いざという時にスムーズに事を運べるはずです。
40代
40代といえば、仕事でも家庭でも大きな責任を背負う世代であり、人生のターニングポイントでもあります。これまでの人生で経験した「結婚や離婚、両親の介護」などの様々な節目を経験して、色々なことを考えるでしょう。その過程で、自分の価値観や優先すべき大切なものが確立されます。「自分が歩んできた道は計画通りだったのか」、「これから先このまま進んでいいのか」を再検討し、人生の軌道修正を行っていきましょう。
また、40代はまだまだ若い働き盛りの世代ですが、だんだん体調を崩したり病気をしやすくなる身体に近づいています。背負っているものも20代・30代の時よりも比較的多いはずなので、万が一に備えて「病気や死亡した時に、どんな対応をして欲しいのか」等をまとめ、エンディングノートに記しておきましょう。
断捨離についても、まだまだ体が元気な40代のうちに本格的に考え始めることをおすすめします。
それでは、40代の終活の手順(例)を簡単にまとめておきます。
これまで歩んできた道がどうだったのかを振り返りながら、今後の人生についてもう一度考え直し、ライフプランをもう一度作る気持ちで行動していきましょう。
「家計をどのようにまかなっていくか」、「葬儀はどんな風に進めていくか」など、実際に検討すべきことはかなりたくさんあります。万が一に備えて、出来るだけ詳細に決めておきましょう。
(STEP1・STEP2)で決めたことをエンディングノートに追加していきましょう。
心身共に健康である今のうちに、断捨離を本格的にスタートさせておきましょう。
両親が定年を迎え、実際に終活を行っていることでしょう。このタイミングで自身も手伝うことによって自分の老後がより鮮明にイメージ出来ますし、終活のコツもつかんできます。
50代
50代といえば、上司が退職し始め、ご自分の定年を考え始める世代です。人生のセカンドライフに向けた準備期間なので、老後資金の管理や定年後の生活に備えましょう。終活を早く始めれば始めるほど金銭的なメリットがたくさんあるので、この機会に終活を始めることをおすすめします。
また50代では、親が70〜80代を迎え、亡くなる方が多いのも事実です。身近な方の死を経験することで、自分の最後に関しても自然と考えを巡らせるかと思います。「老後は具体的にどんなことをしていきたいのか」、「自分の最後をどんな風に迎えたいか」等の考えをまとめ、エンディングノートに追加して記入していきましょう。
20代〜40代の時と同様、「エンディングノート作り」と「断捨離」は行っていきましょう。特に、断捨離はまだ元気である50代のうちに本腰を入れて行っていく事をおすすめします。
50代の終活の手順(例)を簡単にまとめておきます。
以下のような事を行うことで、金銭的な恩恵を受けることができます。
- 不要な保険を解約する
- 貯蓄を堅実な投資に回す
- 資産を(価値のあるうちに)処分する
- 専門家(ファイナンシャルプランナーなど)に家計を見直してもらう
- 節税の制度を活用する
- 葬儀やお墓の「節約」について学ぶ
- 医療や介護の補助制度を活用する
- 老後を意識した金銭感覚を身につける
老後の資金力は、様々な面でプラスに働くので、50代のうちから老後の生活について具体的に計画を立てていきましょう。
「どのような葬儀を行いたいか」などの手続き関係を決めるのは当たり前として、それ以上に「最後まで充実した人生を送るためには」ということを第一に考え、行動していきましょう。
(STEP1・STEP2)で決めたことをエンディングノートに追加し、昔書いたことと異なる場合は更新をしましょう。
心身共に健康である今のうちに、断捨離を本格的にスタートさせておきましょう。
60代・70代以上
60代で定年退職を迎えると、生活はガラリと変わります。収入と支出のバランスを考え、無理のない生活プランを立てることが大切です。
また、60代・70代は平均寿命と比較すると若い年代ではありますが、自身の死が訪れる可能性もだんだん高まってきます。これまで「葬儀・お墓」や「自身の介護・看病」、「財産」等についてざっくりとしか決めていない方は、詳細まで検討し、家族や大切な方へ共有しておきましょう。「葬儀・お墓」や「自身の介護・看病」、「財産」についてやるべきことを忘れた方は、【各パートごとの特徴・やることチェックリスト】で復習しましょう。これらのことをしっかりと決めた上で、新しい趣味に挑戦したり、夫婦で旅行計画を立てて、第2の人生を思い切り楽しみましょう。
そして、自分がこれまで生きた証を家族や後世に残すためにも、エンディングノートの完成を目指していきましょう。
人生100年時代を最後まで悔いなく生きられるよう、綿密な資産・収入管理を行っていきましょう。
介護や葬儀や遺産相続をするのは、本人ではなく家族や親族です。気持ちよく最期を迎えるためにも、家族や親族に迷惑をかけないためにも、このステップは出来るだけ丁寧に進めていきましょう。
人生も最終章に入ったところです。これまでの人生の総まとめをし、エンディングノートに生きた証を力強く残しましょう。
あまり身体が動かないという方もいらっしゃるかと思います。出来るところだけをあなた自身が行い、困ったときは家族や親族、または業者などの専門家にお任せしてしまいましょう。
これから終活を行う際に注意すること
終活は数多くのメリットがある一方で、気をつけないとデメリットになってしまうことも多々あります。せっかく前向きに動き出したのに、損をしてしまっては元も子もないですよね。
この章では、これから終活を行う際に注意することを紹介していきます。
ここまで文章がとても長くて疲れたと思うけど、この章だけは集中して見ておこう!
葬儀形式や供養方法は自分1人だけで決めない
葬儀形式や供養方法は、家族や親戚にも影響が出る問題です。特に供養方法については、終活を行っている本人にとっては良いものであっても、家族や親戚が納得しないケースも考えられます。
必ず周囲と相談し、お互いに納得できるまで話し合って決めましょう。
エンディングノートを遺言書代わりにしない
エンディングノートは、個人の意思を伝えるために書かれるものですが、法的拘束力はありません。つまり、エンディングノートに遺言を書き残しても、法的には認められないのです。
どうしても守って欲しい遺言がある場合は、必ず遺言書を作成するようにしましょう。
パスワードの保管に気を付ける
何かしらの契約に際し必要になるパスワードは、万が一他人に知られると悪用される可能性があります。
特に、キャッシュカードやクレジットカードといった金銭に関わるパスワードは、生きている間は誰にも知られないように保管してください。
パスワードなどは、直接教えるのではなく、保管場所などをエンディングノートに記しておくようにしましょう。
出来るだけ早い時期から、出来ることを進める
終活は、時間と根気の要る活動です。年齢を重ねてから始めてしまうと、思うように進められなかったり、途中で放棄せざるを得なくなったりすることもあります。
本記事では20代〜70代の終活を紹介しましたが、出来るだけ体が自由に動かせるうちに少しずつ進めて、悔いなく終わらせましょう。
困ったら専門家に相談する
終活を進めていくと、自分では進めにくい問題が出てくることがあります。特に、財産整理や遺産相続、遺言書の作成などは法律が関わることも多く、法律に詳しくないと難しいケースもあります。
終活で困ったことがある場合は、無理をせず専門家に相談するようにしましょう。
まとめ
今回は「終活とは?」「終活は何歳から始める?」「終活は実際には何をする?」という疑問について解説しました。
終活は大変な作業ですが、人生をよりよく生きるためには必須となるでしょう。
当ブログでは、これから終活関連の記事をたくさんアップしていく予定です。これからも当ブログを利用していただき、楽しみながら終活を進めていただけたら幸いです。